飽きもせず宮丘公園へ
先週の日曜日(2018年6月17日)、例によって札幌市西野にある宮丘公園まで自転車を走らせて昆虫撮影に行ってきました。
妻に「よく毎週撮りに行けるね」と感心されていますが、週に1度野外で虫を撮影するのが心のオアシスになってしまっていて、雨で行けなかったりすると翌週平日の仕事パフォーマンスに影響を及ぼすんですよ。もはや宮丘公園ジャンキー。
先日、円山にて外来種のマダラコウラナメクジの発生状況を毎日書き留めていた札幌市民がいたことが話題になっていましたが、多分僕もそういうポジションに憧れているんだと思います。
「私、ただの市民なんですけど、円山に年間400回くらい登っていまして。数年前から見たことないナメクジがいるなと思って、毎日、ナメクジの数を記録しているんです。何かに使えますかね?」
「す、すみません。もう一度言っていただけますか?」
詳しく話を聞いてみると、なんと円山(標高225m)の同じ登山ルートを毎朝5時に登り、登山道に現れたマダラコウラナメクジの数を記録し続けているとのことです。文句のつけようのない、完璧なセンサス調査でした。夏は汗水を垂らし、冬は降り積もる雪を掻き分け、雨の日も風の日も、風邪の日だって欠かさず、一人で円山に登り続けている渡辺さんは、是非とも「ただの市民」という自己紹介を改めるべきでしょう。それはもう只者ではない市民と言います。そんな驚愕のデータを、あろうことか2年間分もまるごといただいてしまいました。
使用カメラ&レンズ
OM-D E-M1 MarkⅡとM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroで昆虫を等倍撮影するときは、ニッシンの外付けストロボ i40に自作の牛乳パックストロボディフューザーをつけて撮影しています。
マクロ撮影用に自作したストロボディフューザー。今日初めて野外に持ち出して使ってみたところ、思っていたよりいい感じ。ただ見た目がやばい。 pic.twitter.com/khm87Oxha3
— mad (@madhatter8708) 2018年5月12日
アリ
シベリアカタアリ
園内のとあるコンクリート製階段の隙間に巣を作っているらしいシベリアカタアリ。
毎年同じ場所で生息を確認しています。
すごく小さいアリなんですけども、頭部・胸部・腹柄節は点刻で覆われ、腹部の斑紋がとても格好良くて好きなアリ。
いつか女王を捕まえて飼育してみたい。
JAnt: シベリアカタアリ (Dolichoderus sibiricus)の解説
ムネアカオオアリ
これくらいの時期から、宮岡公園内では大型のカタツムリ(サッポロマイマイやエゾマイマイ)が道を這っているのをよく見かけます。それと同時に道端で潰れて死んでいる個体も数知れず。
そんなカタツムリの死骸に群がっているのは、ヒラタシデムシであったり、スズメバチであったり、アリたちです。
ということで、写真はお亡くなりになったカタツムリにむらがるムネアカオオアリたち。
こちらは園内の木柵上にあった謎の物体(鳥の糞?)を食べている?ムネアカオオアリ。
クサアリとアメイロケアリ


シラカバの木の根元にアリの巣らしきものがあったので、よく見てみると……
クサアリの一種とアメイロケアリの一種の混生コロニーを見つけました。
クロクサアリはアメイロケアリ亜属の種に一時的社会寄生(結婚飛行を終えた新女王アリが多種のアリのコロニーに侵入し、そこの女王に成り代わり産卵して子育てを行わせることで、徐々にその巣を乗っ取っていく)を行うらしく、アメイロケアリ側のワーカーが死に絶えるまでの中間的な構成の集団を見つけたようです。
JAnt: クロクサアリ (Lasius nipponensis)の解説
クモ
ネコハエトリ?
たぶんネコハエトリのメス。
結婚飛行に飛び立ったのであろう羽アリを捕食していました。
……そのアリ、俺にくれよ!
トガリアシナガグモ?
たぶんトガリアシナガグモのオス。
触肢がすごく格好良い!
アリグモ
木柵の上でアブラムシらしきものを捕食するアリグモ。
こんな感じの木柵の上は、色々な昆虫の絶好の観察スポットです。
蝶・蛾
キアゲハ
だいぶ羽に痛みが出てきたキアゲハ個体。
TG-4で広角マクロっぽく撮ってみた1枚。
もっと小さい虫を広角マクロ撮影したい場合、魚露目8号を使うのが手軽でいいです。

ミノガの一種
ミノガの一種の幼虫。いわゆる蓑虫。
蓑を剥いでみたことがある人は分かると思いますが、中にはこんな幼虫が入っています。
アブ
コガシラアブの一種
園内で咲いていたヒレハリソウ(コンフリー)の花に、コガシラアブの一種が食事に来ていました。
最初は1匹しかいなかったのですが、少し眺めていると夢中になって蜜を吸っているメスの背後に小さいオスがさっと近寄って交尾を開始していました。
人間もそうかと思いますが、食事中は警戒心が薄れるんだなぁとしみじみ。
種不明
やたらスタイリッシュなアブっぽい虫。
種名は検討もつきません。
双翅目の図鑑が欲しい。
その他
ナミテントウ
この日、園内ではいたるところにテントウムシの一種であるナミテントウの幼虫が這い出していました。
もう少ししたらたくさんの蛹が見られることでしょう。
ベニボタルの一種
木柵から今にも飛び立とうとしているベニボタルの一種。
クサカゲロウ科の幼虫?
フランスギクの花の上で、小さいなにかの幼虫らしきものが花粉を貪っていました。
クサカゲロウ科の幼虫っぽいけど、不明。
手持ちで深度合成撮影
OM-D E-M1 MarkⅡには、少しずつピントをずらして撮った8枚の画像をカメラ内で合成し、被写界深度が深いJPEG画像を生成する深度合成機能があります。
この機能がとても便利で、ストロボを炊いたらうまく色が出ない虫を撮るときによく活用しています。深度合成と聞くと、カメラを三脚にしっかりと据え付けて撮影しなければいけないイメージがありますが、虫が止まっている状態であれば手持ち撮影でもなんとか撮れます。
以下、この深度合成機能を使って撮影した昆虫写真です。
マダラナガカメムシ
道端で無防備に交尾をしていたマダラナガカメムシ。
よく見ると体表面には細かい毛がたくさん生えていて、カメムシらしからぬツヤ消し感が渋いカメムシです。
ニクバエの一種
交尾にいそしむニクバエの一種。
なんだか妙に生々しい絵面になってしまいました。
交尾中は動きが少ないので取りやすいのですが、なんとなく虫に申し訳ない気持ちになってしまいます。
キンバエの一種
キンバエの一種。
海沿いの町だったからか、庭先で祖母がよく魚干しの網で一夜干しを作っていました。
そんな網によくたかっていたのがキンバエたち。
幼い頃、そんなキンバエの光り輝く美しい体色を飽きもせず眺めていたことを思い出しました。
フォーカスステップの設定問題
深度合成撮影をする際、1(狭い)〜 10(広い)までフォーカスステップを設定することができるのですが、いまいち最適な設定を掴みかねています。
深度合成って何? オリンパス・デジタル一眼カメラ 使用レポート(フォーカスブラケット&深度合成 編) | 公益社団法人 日本写真家協会
フォーカスブラケットの場合、実際にどういう設定にしたら結果が良いかは、被写体の大きさやカメラアングルによって異なる。一概には言えないが、等倍付近の撮影ではフォーカスステップを1 にした場合、60mm マクロ絞り開放で1cm くらいの昆虫の隅々までピントを合わせるには100 枚以上は必要である。次に生きている昆虫を白バックで撮影してみた。 生きた昆虫は動くので、100 枚撮るというのはかなり難しい。1~2cm の小さな虫の場合は動かなければフォーカスステップを2 か3、枚数は50 枚から70 枚ぐらいに設定するとうまく行った。絞りはF5.6 かF8が丁度良い印象を持った。
こればっかりは様々な絞りとフォーカスステップの組み合わせを試してみて、そのときどきで最適な組み合わせを地道に見つけていくしかないのかぁと。
頑張って修行します。